菅富美枝[著]
定価2,750円(税込)
A5判 207ページ 並製
ISBN4-903281-02-7 C3032
かつて法哲学の中心にあったものは、人間を利己的存在ととらえる思想だった。
著者は、人間を利己的でも利他的でもある存在としてとらえ、「他者を支援する行動をしたい」と考えるのもまた、人間の本性であるとする。
救助義務のように個人の自由を侵食することなく個人の自発的な利他的行為を容易にする「容易化法」の法構想が求められると説く本書は、ボランティア社会に法学の立場からエールを送る。
<第1部>自発的支援行為についての法理論 序論
第1章 法的救助義務をめぐる議論 -直接強制論から間接奨励論へ
第2章 自発的支援行為と社会の要請
第3章 現代社会における「自由」の拡張 -他者指向型自由主義
第4章 他者指向型自由主義と法の変容 -容易化(Facilitating)法
<第2部>「管理」型社会から「支援」型社会へ -「容易化」(Facikitating)法の模索
第5章 家族支援をめぐる法 -英国における養子収養制度をめぐって
第6章 訴訟支援をめぐる法 -英国における一般私人による訴訟支援の是非をめぐって
第7章 ヴォランタリズムの展開と法 -英国における公益信託の発展を手がかりとして 結びに代えて